臆病者の散歩道


「着いたな。」

さっきの話を引きずっているのかまだちょっと膨れた顔の柚。
それでもいつもの場所に来て少し笑顔を見せた。

「うん。」

いつもの天体観測スポット。

裏山の中でも一番星が綺麗に見える場所。
何年経ってもこの場所は変わらない。

時々、一人でも来るけど、柚と来るのは久し振りだった。

「マサト、本当にどうしたの?」

柚は首を傾げて聞いてくる。
ま、二人で天体観測なんて久し振り過ぎるもんな。

そもそも高校に入ってから周りがワイワイうるさくて、柚とノンビリした時間を作れなかった。
柚、可愛いけど、ワイワイした所に入って来ないし。
で、油断すると今日みたいな事があるんだよな…。

「ん。いいだろ、別に。」

柚に変な虫が付いてムカついたとも言えないし。
告白しに来たとも言えないし。

仕方なく俺が星を見上げると、柚も同じように見上げた。
やっぱりココは星が綺麗に見える。

俺は昔から二人で星を眺めている時間が一番好きだった。


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