極上な恋のその先を。

細いピンヒールを履きこなし、肩までの艶やかな黒髪が揺れている。

忘れるわけない。
あれは、田所美優だ。


美優は、何かを探すようにキョロキョロとまわりを見渡すと。
高級ホテルへと吸い込まれていった。

思わず立ち止まって目で追っていると、ホテルの玄関ロビーの前に黒塗りの車が止まった。
すかさずホテルマンが現れて、後部座席のドアを開ける。





あ!


すると、そこから出てきたのは久遠センパイだった。

黒のスーツを着こなしたセンパイ。
その後に、センパイのお父さんが降りてきた。


ふたりはそのままホテルの中へ。



「……」



センパイ?
なんでセンパイが……お父さんと一緒に?


そう思った瞬間、あたしは駆け出していた。

センパイ達が消えた後を追ってホテルの中へ飛び込むと、エレベーターを待つふたりの姿を見つけて慌てて柱の陰に隠れる。


どこ行くのかな……。
お昼……の時間はとっくに過ぎてるし。
まさか、やっぱり美優と?


時計を確認すると、すでに4時を過ぎようとしていた。


センパイ達がエレベーターに乗り込んだのを確認して、そそくさとその後を追う。

何階に行くのかな……。


そんな事を考えながら、上がって行く数字を見上げていると、いきなり肩を叩かれた。



「お客様」

「!」



慌てて振り返ると、紺色の制服に身を包んだ若い男の人だった。
たぶん、ここのホテルマン。


「こちらのエレベーターはご予約のお客様限定でございます。一度フロントへお越しください」

「え?」


そ、そうなの?どうしよう!

何も言えず固まっていると、ふわりと甘い香水の香りと共に、目の前に真っ黒な髪が現れた。



え?

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