極上な恋のその先を。


「ケーキ食べ放題とか、私憧れだったのよね」


花が咲いたようにパッと笑みを零した美優は、甘い香りのするフランボワーズのケーキを頬張った。


「いいの?こんなに食べて」


目の前に並んだケーキたちを茫然と眺めて言うと、美優はさらに次のお皿に手を伸ばす。


「いいのよ、これは全部あなたのなんだし」

「そうなんだ……って、えええッ!!?」


あ、あたし?

ギョッとして美優を見ると、「ん!美味しい~」なんて頬を染めている。


「私は少しずつもらえればそれでいいから、ほら!遠慮しないで」

「……」


なんか、美優って……マイペース過ぎ……。
でも……。


ポカーンと開いたままだった口を、キュッと引き結ぶ。


「じゃあ、頂きま-す」

「ん。どーぞ」


あたし達は、数種類のケーキをふたりで分け合った。


と、その時だ。
あたし達のテーブルのすぐそばに、人の気配がして顔を上げた。

え?

う、うそ……なんでこの人が……。


彼はテーブルの上のケーキを眺めて、盛大なため息をひとつ。



「女の子って、どうしてこんなに甘いものばっかり食べれるんだろうね」

「あ、やっと来たのね?私を待たせるなんてどういうつもりよ! 雅哉(まさや)」

「ごめんごめん。俺にも仕事がね?……って、どうしたの?渚ちゃん」


ど、どうしたのって…………。



「なな、なんで柘植さんッッ!!?」





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