極上な恋のその先を。


「ええ?なによそれ、どういう事?」


割烹『薫』と書かれたのれんが、ふわりと揺れた。
まるで、美優の大声に反応するように。



「カードの期限が切れてるってどういう事?」

「申し訳ございません。カードの事もございますが、今日はご予約のお客様で埋まっておりまして……」



しばらくして、美優があたしの元へ戻ってきた。
その顔は、心なしが赤くなっている。


「カードに期限があるなら、ちゃんと書いておいて欲しいわよね!」

「ごめんね、あたしがバカな事してるから……」

「……」


持っていたカードをしまうと、美優はさっさと歩き出した。
慌てて顔を上げると、美優はあたしを振り返らずに言う。


「こっち。こっちのカフェなら予約なしでも入れる。このまま何もしないで帰るなんてあなたも嫌でしょ?イズミ達が出てくるまでここで待ちましょ」

「え?で、でもこのあと美優さん予定あるんじゃ……」

「いいのよ。待ち合わせはこのカフェなんだから」


え?

そ、それならなおさら、あたしがいない方が……。



それでも歩みを止めない美優に、あたしは慌てて駆け寄った。



「ありがとう」


追いつきざまにそう言うと、チラリと視線を向けた美優が小さく笑った気がした。



< 46 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop