極上な恋のその先を。
「ええ?なによそれ、どういう事?」
割烹『薫』と書かれたのれんが、ふわりと揺れた。
まるで、美優の大声に反応するように。
「カードの期限が切れてるってどういう事?」
「申し訳ございません。カードの事もございますが、今日はご予約のお客様で埋まっておりまして……」
しばらくして、美優があたしの元へ戻ってきた。
その顔は、心なしが赤くなっている。
「カードに期限があるなら、ちゃんと書いておいて欲しいわよね!」
「ごめんね、あたしがバカな事してるから……」
「……」
持っていたカードをしまうと、美優はさっさと歩き出した。
慌てて顔を上げると、美優はあたしを振り返らずに言う。
「こっち。こっちのカフェなら予約なしでも入れる。このまま何もしないで帰るなんてあなたも嫌でしょ?イズミ達が出てくるまでここで待ちましょ」
「え?で、でもこのあと美優さん予定あるんじゃ……」
「いいのよ。待ち合わせはこのカフェなんだから」
え?
そ、それならなおさら、あたしがいない方が……。
それでも歩みを止めない美優に、あたしは慌てて駆け寄った。
「ありがとう」
追いつきざまにそう言うと、チラリと視線を向けた美優が小さく笑った気がした。