極上な恋のその先を。

「あの」


あたしは意を決して顔を上げた。

ん?とお父さんが首を傾げたのを見て口を開く。


「センパイは、どうして先に帰っちゃったんですか?」



そうだ。

そもそも、センパイが先に帰らなければあんなに会長が怒る事もなかったのかもしれない。


お父さんは少しの間宙を仰ぐと、「ああ」と頷いた。



「急な仕事が入ったとか」

「仕事?」


日曜日に?
まあ、センパイなら急な出勤あり得るかも。


なんて納得していると、さらにお父さんはこう続けた。



「本格的にパリで仕事を始めるんだね。この前会った時に、そうしたいって言ってたから」

「え?」



パリ?

仕事?



なに、それ……?



センパイは2ヶ月前に、パリから帰って来たばかりで……。

出張の話は、誰からも聞いてない。



聞いてない。





「…………」




「……、……さ……渚さん?」



え……?


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