極上な恋のその先を。
日曜日の繁華街は、たくさんの人で溢れていた。
楽しそうな若者。
外食帰りの家族連れ。
寄り添うように歩く恋人たち。
センパイのお父さんを駅に送った後。
あたしは、ただぼんやりと駅前のロータリーのベンチで、行き交う人々を眺めていた。
「……」
いつまでもこの街は賑やかで、眠る事を知らない。
見慣れた、いつもの日曜日。
ここが、あたしの住む街だ。
そして、センパイはパリへ行ってしまう。
行ってしまえば、きっと、もう帰ってこない。
ねえ、センパイ。
本当は、それを言うために帰って来たんでしょ?
あたしに、”別れ”を告げるために……。
そんな事知らないあたしはひとり舞い上がって、浮かれて。
だから言えなかったんでしょ?
カワイソウってそう思ったんでしょ?
お見合いの話だって、どうでもよくって。
センパイ……。
あたしは……センパイがわかりません。
どうして何も言ってくれないの?
あたしは、それだけの存在だったの?
……。
喉の奥が焼けるように痛い。一気に視界が歪む。
頬に伝わる涙が、手の甲に落ちて。
それはハラハラと散って行く。
まるで……
この恋の終わりを、予感させているようで。
どうしよもなく、苦しかった。