極上な恋のその先を。
その日もあっという間に時間はすぎ、いつの間にか定時を過ぎてしまった。
仕事にきりが付き、ようやくパソコンのスイッチを切る。
はあ……疲れた。
ギィと椅子にもたれかかり、そっと視線を巡らせる。
「……」
センパイの姿は……ない。
どうやら他の部署にも顔を出してるようだ。
もしかしたら、今日は一緒に過ごせるかもって思ってた。
でも、この時間までセンパイは以前のように仕事をこなし、以前のように恐ろしくマジメな顔で仕事に打ち込んでいた。
忙しい人だな……。
変わってない。
センパイは、センパイなのだ。
その姿は眩しくもあり、それと同時に磯谷さんの言葉を思い出す。
『ツラいとか、そう言う本音隠す癖あるから、よーく見張っておいてね?』
「……」
あたしは鞄を持ち上げると、席を立った。
今日は帰ろう。
それで、帰ったらメールしてみよう。
――よし。
オフィスには誰もいない。
時東課長も柘植さんも、外回りに出てしまってる。
真山くんはデザイン部との打ち合わせだ。
大きなガラス窓を見ると、すっかり陽が落ちて、かわりにビル街の夜景がキラキラと輝いていた。
あたしはオフィスの電気を切ると、ドアノブの手をかけた。
と、その時。