SHE IS MINE(2014年七夕短編)


「上出来だよ」


星司お兄ちゃんはそう言って、またわたしを抱きしめた。


「織賀ちゃんのおかげで順調に話が進んでいるよ」


だから、話って…。


どうしよう。

失ってた記憶を取り戻してこの気持ちを自覚しただけなのに、星司お兄ちゃんがキラキラして見えるよ。


きれいな顔してるから元からキラキラしてるようなものだけど。


ああ、でも星司お兄ちゃんってずっと好きな人がいるんだっけ…。


嗚呼、此の恋やぶれたり。


秒殺でした。…いや瞬殺か?


大丈夫。

傷はかなり浅い。

ほぼ、無傷。

明日になればまた忘れるはず。


…なのに、どうしてこんなに悲しいんだろう。


…女の子らしく涙が出る、とかはないけど。


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