俺様王子様
飾らないあたし
勢いで部屋を飛び出したものの、行き場のないあたしは結局中庭にたどり着いてしまった。

(他に思いつく場所ないんだなー、あたしって)

あるわけなんかない。
憧れだけでこの学園に入学して、周りはお金持ちのセレブばかり。
知ってる子なんて一人もいない。
…あたしはひとりぼっち。
そう思ったら、涙が止まらなかった。

「あれー?桜村さん?」

三咲くんの声がした。

「まーた泣いてる」

そう言って三咲くんはあたしの横に座った。

「陽介ー、先行くぞー」

遠くで三咲くんを呼ぶ声がした。
三咲くんはおーうと返事をした。

バッグからごそごそタオルを取り出して、不器用にあたしの顔に当てた。

「ちゃんと洗濯してあるから大丈夫」

予想外の言葉にあたしは吹き出してしまった。
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