俺様王子様
「泣くか笑うか、どっちかにしろよー」

そう言って三咲くんはあたしの頭をわしゃわしゃ撫でた。

「…帰んなくていいの?部屋に」

「うん…」

あたしはそのまま黙っていた。
三咲くんも一緒に座ってた。

「もう遅いから、三咲くんも寮に帰ったほうがいいよ」

「桜村さんは?」

「あたしはいいの」

「よくない」

「帰る部屋なんてないから」

そう言ったあと、涙がじわっと滲むのがわかった。

「じゃ、行こ」

三咲くんはあたしの手を取って立ち上がった。

「行くってどこに⁉︎」

「俺の部屋」

三咲くんは構わずぐんぐん歩いた。
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