本当の居場所


今の状態で、手なんて繋げるわけない。

それは優矢も分かってるから、無理に繋ごうとはしない。


帰り道でも、お互い無言。

何を話せばいいのか分からない。

今何か喋ったって、上手く笑えないから。

偽りの言葉や笑顔しか、出てこない気がするから。


そんな重い空気のまま、あたしの家に着いた。


「紗雪…上がってもいい?」

「え……?」

「ちゃんと話…しよ?」


絞り出すかのような優矢の声に、

あたしはゆっくりと頷いた。

ちゃんと話し合わなきゃ、あたしの関係は崩れてしまう。


陽人との再会が、あたしと優矢の想いを揺れ動かしていた。




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