幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「出てきたぞ!」
他の隊士の声で、あたしと副長はハッとする。
鷹司邸から、逃げ出した長州兵たちが塀の外にぽつぽつと見えだした。
副長は馬から降り、刀を抜いて怒鳴る。
「一人も逃がすんじゃねえぞ!」
その言葉で、邸内から出てきた副長助勤たちをはじめ、隊士たちが長州兵を追い始めた。
あたしも苦無をかまえる。
「うわあああああ!」
長州兵が、無我夢中で刀を振り回してくる。
彼らも、命がけで戦っているんだ。
幕軍と新撰組が彼らをとらえようと動き、その場は大混乱。
その中で長州兵の一人が、副長を狙ってこちらへやってきた。
「土方っ、覚悟!」
しかし、その剣が振り下ろされる前、長州兵の首が笠をかぶったまま横に飛んだ。
「土方さん!」
どさりと倒れこんだ敵の後ろから現れたのは、総司だった。
良かった、無事だったんだ。
「ちっ、ただでさえ少ない副長の見せ場を奪うなよ」
副長はそう言いながらも、総司に向かってにっと笑いかけた。
総司も笑い返すと、すぐに混乱の中へと戻っていった。