聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~約束の詩~

フューリィはピューアの村のはずれに独りで住むいわゆる孤児で、食べものを庭で自給しパンを焼いて売ったり野草をとって売ったりして暮らしを立てているという。大切な人とは四年前から親代わりの、それはもうとてもとても大切な人なのだという。

フューリィの話によると、この村を最初の悲劇が襲ったのは二週間と少し前のことらしい。

炭鉱で働く鉱夫数人が、急に狂ったように唸り、暴れはじめたのだ。

彼らを皮切りに次々と村の人々が同じように狂っていき、今もって正気に返った者はいない。

それを人々は奇病と呼び恐れ、すべてをフューリィの大切な人のせいだとし殺そうとしているのだという。

フューリィは大切な人を助けるために奇病の原因を必ず見つけると誓ったが、その期限があと三日だというのだ。

「僕が調べたところによると、どう考えても鉱山が怪しいんだ。ちょうど二週間と少し前、ぴったりの時期に金鉱が見つかった場所だから。それに一番奇病にかかっているのは鉱夫たちなんだ。でもそれについて調べているうちに、僕まで奇病にかかってしまって…」

よっと声を出しながら、フューリィが山道をひょいひょいと先導する。先導するのはいいのだが、この少年――

「わわわっ! わぁっ!」

―とにかくおっちょこちょいで、よく転ぶ。

「いたた…」

「…………………」

腰を押さえて身を起こしたフューリィは、とばっちりで頭から泥をかぶったパールの仏頂面と目が合った。フューリィが慌てて謝ろうと口を開きかけた時、パールがぼそりと呟いた。

「…ふん、どんくさい」

これにはフューリィ、むっとする。

結局謝りそびれ、そっぽを向いてしまう。

フューリィは13歳、パールは10歳と年の頃は近いのに、なんだかそりが合わない二人である。
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