忠犬ハツ恋
噂のカレ、噂のカノジョ
「おい、大輔。
お前檜山圭太って知ってるか?」

昼に空き教室で生徒達の小テストの採点をしていると、缶コーヒー1本持って大我が現れた。

「檜山圭太?さぁ?」

「荒木先生が招待生にって推してる子。
去年の中3の学力テストでウチの塾生を差し置いて一般参加で2位につけた。」

そう言われてみればたまにそう言う生徒が現れる。

「で?そいつが何?」

「荒木先生から話を聞いたらさ、優秀は優秀なんだけど本人に進学の意思がないってワケ。」

「それはゴメンだ。やる気のないヤツの指導は出来ない。」

招待生には良い大学に合格してもらわなければ、ウチの塾の名が上がらない。
だからこその授業料半額免除なんだ。
恩には恩で返してもらわなければ教え損になる。

「その檜山君、今、中央にいるらしい。
なら奥さんと同級だろ?知ってっかなって思って。」

「え……?」
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