忠犬ハツ恋
「檜山君、ココ知ってたの?」

「さっき寺見て思い出した。
昔、兄貴と遊びに来た事があるよ。」

こんなところで何して遊ぶんだろう?
そんな事を考えていると眼前で大輪の花火が舞った。

「わぁっっ!!」

手が届くんじゃ無いかと思える程大きな花火が目の前で花開いては儚く散ってゆく。

さっきまで怖くて仕方なかったのに、辺りは眩い光に照らされて、恐怖心なんて一気に吹き飛ばされた。

呆気にとられている私の手を檜山君が引いてベンチへと導いてくれる。

「立ったままだと疲れんだろ?」

石造りのベンチは冷んやりとしていてそれもまた心地よかった。
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