忠犬ハツ恋
追憶のチョコソース
大ちゃんのキスで目が覚めた。

「おはよ、
そろそろ起きなきゃ遅刻だろ?
朝メシ出来たから着替えたら下りて来いよ。」

私は何時の間にか自分のベッドに移動していた。
カーテンの隙間からはキラキラした爽やかな朝日が差し込んでいる。

大ちゃんは寝ぼけ眼の私にもう1度キスをすると1階へと下りて行った。

ぼんやりとした頭で掛け布団を剥ぐと自分が素っ裸である事に気が付いた。
しかも全身を姿見で見るとあちこちに紅い花びらが舞っている。

「…これ……。」

大ちゃんのキスマークだった。

昨夜の事は途中までしか記憶に無い。
いったいいつの間にこれ程のキスマークを付けられたんだろう?
お陰で檜山君のキスマークは紛れて分からなくなってしまっている。

全身を這う檜山君の唇の感触は生々しい程残っているのに、
こんなにキスマークを付けられているにも関わらず大ちゃんの唇の感触は少しも残っていなかった。

…………。

こんな姿、誰かに見付かったらどうしたらいいんだろう?
幸い今日の時間割に体育は無かったが…。

憂鬱な心持ちで制服に着替え1階に下りた。
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