忠犬ハツ恋
テーブルには昨日のチーズリゾットやスープは姿を消し、トーストと目玉焼きとコーヒーが用意されていた。

「………大ちゃんごめん。
私、昨日のご飯一口も口にしてない……。」

しょんぼりと肩を落とす私に大ちゃんは柔らかく笑った。

「リゾットならまた作ってやる。気にするな。
昨日は疲れたろ?手加減無しで美咲にはキツかったろうなって反省してる。」

「え……?」

「何だよ、昨日の事覚えてないのか?」

「……うん………あんまり……。」

私はボーッとしたまま椅子に座った。
大ちゃんは私の向かい側に座って私の顔を覗き込む。

「今度の週末お前の荷物を俺のマンションに運ぶから急いで荷物まとめておけよ。」

「えっ?」

「伯父さんの許可は近い内にもらいに行って来る。来週から2人暮らし、いいね?」

思いも寄らぬ大ちゃんの発言に一気に目が覚めた。

「ちょっと待って!それ、急過ぎない?」

「何言ってるんだよ。
婚約した時に一緒に住むつもりで残念がってたのは美咲だろ?
念願叶うんだ。これの何処が急?」

………それはそうだけど…。
あの時とは状況が違う。
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