忠犬ハツ恋
「飲むよ!取らないで!」

私は檜山君からソッポを向いてそのコーヒーに口をつけた。

コーヒーにはそれ程詳しくはないが最近毎日のようにシャロンでコーヒーを淹れ、ある程度の興味はある。
その私の口にこのコーヒーは珍しく甘く飲み易かった。

「これ………。」

「美味いか?」

檜山君は心配そうに私を覗き込んだ。

「うん……すごく飲み易い。」

ふと檜山君の手にしているコーヒーのパッケージに目が行った。
そこには"8Coffee"とデザインされたシールが貼ってある。

「"8Coffee"?」

檜山君は私の視線に気づき、バツの悪そうな瞳を空に泳がせた。

「……お前の事。」

「私?」

「お前、ハチ公だろ?だから『8』。
数字なら世界各国共通だから今後販売ルートを世界規模まで広げても受け入れられ易いんじゃないかって…。」

檜山君のその新品種に賭ける意気込みに驚いた。

「すごい……。
檜山君はすでに世界を見てるんだ。」

「当たり前だろ?
だから中途半端で帰国出来なかったんだよ。」

そう言われると目の前のコーヒーを有難く味わって飲んだ。

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