漆黒の花嫁 - リラの恋人 -






「ーーリ、‥アカリ‥、
‥‥‥大丈夫?」


気が付いた時、あたしはアードさんの腕の中にいた。



――あれ?
あたし‥‥


どうしてしまったのかと見上げた先に、アードさんの綺麗な顔。

サラサラの金髪が、ランプに照らされて輝く。

その奥からこちらを見つめた瞳が、あたしの目にはひどく魅惑的にユラッと細められた気がして‥


「アカリ?」

「‥‥ッ!!」


途端に、
我に返る。


その近い距離にあまりに驚いたあしは、声にならない声を上げながらアードさんから慌てて離れた。


「ごっ、ごめんなさい‥!
あの、‥あたし?」

「気を失っていた」


ジェダシュカさんの低い声が聞こえてきた。

その方向を見ると、彼は壁に軽くもたれて立っていた。

どこか神妙な顔をしてる。



‥気を失ったって‥
倒れたって事?

――あたしが?


生まれてこのかた、倒れた事なんて一度もないくらいに健康なはずなのに。


< 117 / 390 >

この作品をシェア

pagetop