漆黒の花嫁 - リラの恋人 -
太陽が昇り始める。
「そろそろ戻った方がいいな。何か聞きたい事は?」
「――えぇっと‥えーっと‥。
あ、そうだ!あたし以外の人って‥今、ナイアにいるんでしょうか?」
王女の持っていた、他の四つの道具を持った人たち。
もしいてくれたら、
きっとものすごく心強い。
少しだけ難しい顔をしたジェダシュカさん。
小さく首を振った。
「まだ何も分からない。
だが‥来ていたらオレに分かるはずだ。
お前を感じたようにな。
今のところ、ここのナイアには来ていない」
「‥?ここのナイア?」
その言い方が引っ掛かって、あたしは首を傾げた。
いや、とジェダシュカさんが視線を伏せる。
「ベルガに帰って詳しく調べてみよう。お前が帰る方法も一緒にな。分かれば必ず知らせる」
「はい‥。
‥でもベルガって異国ですよね?
あたし言葉が分からなくなる時があって‥」
不安そうに佇むあたしを見て、ジェダシュカさんが微かに笑みを見せた。