漆黒の花嫁 - リラの恋人 -


「"コルア"がいれば心配ないだろう。現にセアリア語も問題ないようだしな」

「じゃあ、やっぱりこのリリーのお陰であたし言葉が分かるんですか?」

「‥あぁ。"コルア"の魔力が、お前の使う言葉をそのままこの世界の言葉に変えている、といったところか」

「スゴーイ!」


手放しで呑気に喜ぶあたしは、徹夜のせいもあって少しナチュラルハイ気味だ。

だからか、

「何の力が加わったのかは知らぬがな‥」

そう言ったはずのジェダシュカさんの言葉は、あたしの耳には聞こえなかった。


そんなあたしを小さく笑いながら見つめた後、ジェダシュカさんがまた尋ねた。


「他には?」


その言葉に顔を上げると、もうすっかり辺りは眩しいほどに明るい。


もうそろそろ、
部屋に戻らなければ。


――‥アードさんはまだ、部屋に居てくれてるんだろうか?



「――‥あたし‥、
これからどうすればいいんでしょうか‥?」


気付けば、柔らかな視線のままあたしを見下ろすジェダシュカさんにそう尋ねてしまっていた。

吹き抜けてゆく風に長い髪をなびかせ、ジェダシュカさんはあたしを見つめた。



「お前はどうしたい?」
< 139 / 390 >

この作品をシェア

pagetop