漆黒の花嫁 - リラの恋人 -



起こさないようにゆっくりと近づき、アードさんの枕元のランプを消そうとする。



―――カシャン。


「‥ぁ」


ドキッとした。



いけない。



それは、
アードさんが大事に首に下げていた金の首飾りだった。


アードさんの様子を見つつ慌てて元の位置に戻そうとすると、ただの首飾りと思っていたその金の鎖が、ペンダントだったのだと分かる。

そのペンダントが、落ちた拍子に開いてしまっていたから。


「‥‥写真付きの‥ペンダント?」


小さく呟いた、
自分の言葉に。


――ドクンドクン。

心臓が激しく鳴りだす。


見たくなくても、
開いてしまっていた。



そこに、
美しい絵が描かれていた。

銀色の髪の、
とても綺麗な女の人。



ついつい照れてしまうあたしとは違って、淑女として扱われるのに相応しい。

そんな表現が似合う程に女性らしく可憐で、守りたくなるような‥。



< 142 / 390 >

この作品をシェア

pagetop