漆黒の花嫁 - リラの恋人 -
起こさないようにゆっくりと近づき、アードさんの枕元のランプを消そうとする。
―――カシャン。
「‥ぁ」
ドキッとした。
いけない。
それは、
アードさんが大事に首に下げていた金の首飾りだった。
アードさんの様子を見つつ慌てて元の位置に戻そうとすると、ただの首飾りと思っていたその金の鎖が、ペンダントだったのだと分かる。
そのペンダントが、落ちた拍子に開いてしまっていたから。
「‥‥写真付きの‥ペンダント?」
小さく呟いた、
自分の言葉に。
――ドクンドクン。
心臓が激しく鳴りだす。
見たくなくても、
開いてしまっていた。
そこに、
美しい絵が描かれていた。
銀色の髪の、
とても綺麗な女の人。
ついつい照れてしまうあたしとは違って、淑女として扱われるのに相応しい。
そんな表現が似合う程に女性らしく可憐で、守りたくなるような‥。