漆黒の花嫁 - リラの恋人 -


ギデルスの姿がまともに見えるようになったと思った瞬間には、次の攻撃が‥‥あたしに向かって放たれていた。


「お前が1番邪魔だ」


そう言ったギデルスが見ていたのはあたしではなくて、アードさんの姿。


あまりに急すぎる展開に、すぐに反応出来なかった。

何故ギデルスがそんな行動に出たのかさえもわからなかった。


ただ、何の躊躇いもなくあたしを腕に抱きしめるアードさんの真っ直ぐな強い瞳を見つめて、初めて出逢った時と同じ目だとだけ思った。

意志の強そうな、真っ直ぐな青い瞳。



――あの時に、あたしは貴方に恋をしたの。



そんな事をぼんやりと考えていた。






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