漆黒の花嫁 - リラの恋人 -
あの夢の続き。
そうであって、
そうでない場所。
神秘的な空の色。
虹色に煌めきながら、
空からはキラキラと星屑に似た輝きが落ちてくる。
『やっと私に気付いてくれたわね』
彼女が笑った。
あたしは、
目を細める。
眩しかった。
彼女が、世界中を虜にしたという絶世の美女だったから。
‥それだけの単純な理由じゃない。
彼女から溢れてる、魂の輝きがあたしには眩しいくらいに羨ましかったから。
内から滲み出るオーラ。
そんな空気を醸し出す人がいるって、聞いた事はあったけど‥
実際目の前で見ると、
圧倒されそうになる。
腰まである艶やかな漆黒の髪。
星空のような煌めきを潜めた漆黒の瞳。
こちらを見つめる双眸からは、聡明さがにじみ出ている。
スラリと長い手足と、ドレスから覗く滑らかな肌は、透き通るほどに白かった。
彼女が‥
漆黒の一族最後の王女となった、
――マフィルリリラ。
人々に"女神"と呼ばれ、
リリーを世界に広めた人。