漆黒の花嫁 - リラの恋人 -





あの夢の続き。

そうであって、
そうでない場所。


神秘的な空の色。

虹色に煌めきながら、
空からはキラキラと星屑に似た輝きが落ちてくる。



『やっと私に気付いてくれたわね』



彼女が笑った。


あたしは、
目を細める。



眩しかった。


彼女が、世界中を虜にしたという絶世の美女だったから。

‥それだけの単純な理由じゃない。


彼女から溢れてる、魂の輝きがあたしには眩しいくらいに羨ましかったから。



内から滲み出るオーラ。

そんな空気を醸し出す人がいるって、聞いた事はあったけど‥


実際目の前で見ると、
圧倒されそうになる。



腰まである艶やかな漆黒の髪。

星空のような煌めきを潜めた漆黒の瞳。

こちらを見つめる双眸からは、聡明さがにじみ出ている。

スラリと長い手足と、ドレスから覗く滑らかな肌は、透き通るほどに白かった。



彼女が‥

漆黒の一族最後の王女となった、


――マフィルリリラ。


人々に"女神"と呼ばれ、
リリーを世界に広めた人。



< 237 / 390 >

この作品をシェア

pagetop