漆黒の花嫁 - リラの恋人 -
あたしがパニック気味になっていると、アードさんがニッコリとライラに言った。
「この娘を連れ帰りたいんだが、良いかな?」
「シャンテルさま、ですが‥」
「分かってるよ。
"ある程度は通わなければならない"んだろう?
私は常連なのに、厳しいね"キュリュス"は」
「そこもウチの売りとなっていますから。
ただ、シャンテルさまなら構わないのですが、ベルクさまはまだ通われた日が浅いので‥」
申し訳なさそうにそう言うライラ。
「あ、あの、どういう‥?」
買うとか、なんだとか
訳がわからないあたし。
ロゥさんを見ると、黙って見ていろと言うような目配せをされる。
「そうなるかなとは思ってたけどね。
‥私でも、すぐに連れ帰るのは無理かな?
金ならばいくらでも出せる」
自分の事で話し合う二人を、息を詰めて見守る。
今、
ライラの瞳がキラリと光ったような気がしたのは気のせい‥?
「シャンテルさま‥。
見てのとおりこの娘は珍しいし、ウチも最近は売上が滞っておりますからねぇ。
何とか取り戻そうとしてるんですよ。
黒髪の娘を見たいと言うお客さまも殺到していますからね」
「‥‥‥」