漆黒の花嫁 - リラの恋人 -
最後のライラの言葉を聞いてゾッとした。
‥あたし、
出られないの?
不安を抱えてアードさんを見ると、視線が合った。
あたしの不安そうな頼りない顔を見たからか、少しだけ柔らかく細められた瞳。
それだけで、不思議と不安がなくなった気がした。
‥なんて、
そんな事言ったら
あなたは、
なんて言うのかな?
あたしは手をギュッと握りしめた。
「分かった。
ライラ、だけど条件がある」
「ありがとうございます。
はい、何なりと」
アードさんの言葉で交渉は成立したらしい。
ライラが嬉しそうにアードさんに頭を下げた。
「私以外の客は一切取らせないと約束をしてくれないかな?
そうしてくれれば、今の3倍は払おう」
「‥かしこまりました、ではさっそく今夜から?」
「あぁ」
「ありがとうございます」
ライラさんが妖しく笑った。
そしてあたしに耳打ちする。
「しっかりご奉仕するんだよ?」
「――えっ!?」
え、え!?
ご、ご奉仕って‥!?