漆黒の花嫁 - リラの恋人 -
魔力みたいなものを感じる。
――なんてね。
あたしは、そんな考えを酔いのせいにして変わった造りの楽器に触れた。
少しギターに似てる?
「いい音‥」
指先で軽く弾くだけで、その違いが分かった気がした。
そして、
あたしはいつの間にか
それを持って家路を急いでいたんだ。
――これがどうしても欲しい。
何をしに公園に来たかなんて忘れて、取り付かれたようにそれだけを思った。
これがいけなかったのか、
今となれば良かった事なのか、
あたしには分からない。
でも、
後悔なんてしていない。
貴方に逢えたから。