HOLISM
「よろしい。じゃあ、放課後そこのコンビニで待っててね」
舞川くんはお気に入りのスイーツを前にした女の子のように満足気に笑った。
かと思えば「絶対逃げんなよ?」と、紫の猫のように顔を歪ませる。
表情がコロコロ変わる人だと思った。
「はい」と言おうとしたところで、担任が「みんなおっはー!!!!」とやかましい登場をしたので、私の返事は不発に終わった。
結局、英語の和訳は4分の1も終わらず、英語の予習の時間のほとんどを舞川くんとのお喋りに費やしてしまった。
1時間目の英語の時間を考えると憂鬱になったが、放課後のことを考えるとほんの少しだけ胸が踊る。
『あんたは、周りの人を不幸にするのよ』
舞川くんの華奢な後ろ姿をみて、胸の高鳴りは一瞬にしてどこかへ消えてしまった。