HOLISM
「いいよこれくらい。たった100円だろ?チョコレート1つくらいもっと軽く受け取ればいいのに」
あの人みたいに、と舞川くんが指さした先には、カップルがいた。
彼女は彼氏に何か買ってもらったらしく、大袈裟なくらいに、はしゃいで喜んでいる。
彼氏の方は嬉しそうな彼女に目尻を垂らして、彼女に負けないくらい幸福そうにみえた。
砂を噛むような気持ちでそれを傍観していると、舞川くんが顔を覗きこんできた。
「ごめん、そんな険しい顔しないでよ。俺は好意を持たれたくてお菓子をあげたわけじゃないし?」
おどけたように笑った彼を見上げた。
意外なことに舞川くんは背が高かった。
彼と話すときはいつも座っていたので、そんなことにも気づかなかった。