HOLISM


「本当に犬派なんだな?」



信じられない、といった口調だった。
舞川くんは、可愛い犬を敵を見るような厳しい目つきでみていた。

挙句の果てには、まるで私まで敵だと言うように、同じような視線を投げかけてくる。



「どうして犬が苦手なの?」



そんな舞川くんに対して、当然の疑問を投げかけてみた。



「……苦手では、ない、けど」


苦虫を噛み潰したような顔で無理やり吐き出された言葉に説得力はない。


唇を微かに噛んでいる。
思案するような顔だった。


舞川がそのまま沈黙した。

私が沈黙することはあったけど、舞川くんが沈黙するということは今までなかったので、少し焦る。


まずいことを聞いたかな、申し訳なく思っていると、後ろから乱雑な足跡が聞こえた。



「小せぇ頃、犬に噛まれた挙句追いかけ回されたんだっけな?」


振り返ると、熊のような図体をしたパンチパーマの男性が立っていた。


筋骨隆々の身体に不似合いなピンクのエプロンを着ていた。


「よぉイズミ、彼女とデートかァ?」

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