HOLISM
「デートじゃないし、カノジョでもない」
話しかけてきた男性に噛み付くような態度の彼は、いつもより幼くみえた。
舞川くんがこの男性には気を許しているということはすぐわかった。
厳つい風貌の男性だ。だけど、スマートだ。
朝に想像した優雅な熊が脳裏に浮かぶ。
親しげな雰囲気ではあるが、確かに、このお洒落なペットショップで彼の風貌は少しばかり浮く。
舞川くんが気取ってるよな、と言った訳も少しだけ理解できた。
「小便小僧のイズミも彼女でもない女と出かけるようになったのかァ?感慨深いものがあるな。お前は一生女々しいと思ってた」
彼はガハハッと口角をあげて豪快に笑った。低く唸るような声だった。肉食動物を彷彿とさせた。
「俺はここの店長の立川英樹(タチカワ ヒデキ)だ。似てねェけどこいつの従兄弟でもある」
イトコ
いとこ
従兄弟。
精悍なタチカワさんと華奢な美少女のような舞川くんを見比べてみるが、似てもにつかない。
タチカワさんの言葉を飲み込みのに少し時間がかかった。
だけどタチカワさんの笑い方と舞川くんの笑い方を思い返してみると、綺麗に口角を上げるところがとても似ていると思った。
2人とも素敵な笑い方をする。
事実を飲み込むことに抵抗はなかった。