やっぱり、無理。





15歳の夏―――





私は、恋を知り。



周りに溢れていた愛を、再確認した。





私は、気づかないうちに沢山の物を与えられていたのだ。






だけど、失ったものもある・・・。




それは、処女ではなくなった事と。



そして、自慢だった長い髪・・・。






お酒を飲みすぎて、饒舌になった礼ちゃんが。


つい、うっかり。


昌に私が頭を撫でられていたことを、喋ったのだ。




でもそれって別に変な意味とかじゃなくて。


何となく、私と昌の間のエールみたいな?


コミュニケーションみたいな感じで、頭を軽く叩きあうような、友情の習慣ができていて・・・・。





だけど、そんな事、ジローに通じるわけもなく。



怒り狂った、ジローは。


私をいつものごとく担いで、知り合いの美容院へ連行して。



否応もなく。



乙女の命ともいえる、黒髪を・・・。



カットさせた。




ベリーショートに・・・・。





「ほら、やっぱ、お前、短い方が似合うじゃねぇか。それに、前からイラついてたんだよっ。風呂入ったあと、お前ブローすんの時間かかってただろ?早くヤりてぇのに、俺待たされてよぉ。まあ、今日から風呂入ったら、速攻でヤれんじゃねぇか。おい、お前、髪そのままの長さで保てよ?それから、他の男にもう触らせんなよ?次はお前、坊主にすっぞ?」


「・・・・・。」





信じられない・・・。



やっぱり、強引な男は無理だと。





15歳の夏の終わりに、私は。



怒りで震える唇を、かみしめたのだった―――






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