私をひとりじめ
映画館を出てすぐに、慎くんは腕時計を確認した。


「もう、帰ろうか?」


私は彼に同意を求められ、頷いた。

彼と私は並んで歩くが足の長い彼の歩幅に付いて行くのは、けっこう大変だった。

あっという間に家に着いてしまう。

何故かそのことが物悲しく、でもそれを何て表現していいのか分からない。

そうこう、考えているうちに彼は、玄関のノブに手を置き、軽やかに扉を開けた。


二人でリビングに入ると、既にテーブルの上の物は綺麗に片付けられていた。


「長いこと、お邪魔しました。
そろそろ帰らせて頂きます。」


おばさんは立ち上がり、自分の荷物を持って玄関へと歩く。

その後ろを慎くんが歩いていた。

不意に彼は振り返った。

前触れもなく振り返ったので、私は少し驚き、倒れそうになった。


「じゃあ、またね。」


私の頭を軽くポンポンと叩いて、爽やかな笑顔を残し帰って行った…。
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