私をひとりじめ
私は、リビングに入ってきた男性のことが気になり、その男性の容姿をつま先から頭のてっぺんまで、チェックしていた。


『天使だ。』


私の頭に浮かんだ言葉…。


見た目は20代前半くらいで、俳優やモデル顔負けの甘いマスクで、誰からも好かれそうな端正な顔立ちのイケメン。

彼の目尻がたれ下がりながら微笑む姿は、きっと誰もが癒されるに違いない。

私は、彼の笑みに思わず吸い込まれるように見とれていた。

大人の色気漂う彼の姿をした男性は、普段目にすることはなかった。

兄はどちらかといえば、ガッチリしたスポーツマン体型。

一方同級生の男子は彼と比べて子供にしか思えない。

都会的で洗練された男性は、私の周囲には誰一人としていなかったのだ。

私が手にしていたファッション雑誌の男性モデルでさえ、彼よりも容姿が劣っているように思えた。

私は、視界に入る得体の知れない男性に興味をもった。

そんな天使のようなイケメン男性が口を開いた。


「亜果利ちゃん、こんにちわ。
久しぶりだね。」


『……どうして、彼は、私の名前を知っているの?』


彼が言葉を発した瞬間、そんな疑問が頭によぎった。






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