私をひとりじめ
私は、彼の仕事の邪魔をしてはいけないと思い、バッグから携帯を取り出し、暇潰しでネットにアクセスした。


何となく、芸能情報を見たりしながら、時折、顔を上げて彼を確認するように視線を向けた。


彼は何度見ても、パソコンに視線を向けたままで、私の存在のことなど忘れたままであるかのようだった。


この何とも言えない空気を消すように、私は、立ち上がる。


私の太股で押した椅子がガタッっと音を出した。


「どこ、行くの?」


彼はようやく私に視線を向け、聞いてきた。


私に意識を向けてくれたことに、気分が浮き立つ。


「トイレに。」


「…。あっ、そう、行ってらっしゃい。」


何故か一瞬変な間があったように思えたが、取り合えずトイレに席を外した。




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