瞳が映す景色

「眠ってる間に、白鳥先生が来ました」


唐突に藁科から報告を受ける。


「えっ? 気付かなかった」


「よく眠ってましたから。出てもいいか迷ったんですけど、うるさくって……」


「構わないよ」


何故か幸せそうに微笑む藁科。これは後で是非とも問いたいことだと記憶する。白鳥さんの話題の合間なんて嫌すぎる。


「――ありがとうございます。で、白鳥先生、お見舞いを持ってきてくれました。スポーツドリンクと、御用達の幕の内だそうです。白鳥先生が病気の時の栄養食らしいです」


「ガッツあるなあ。いつでも」


「『僕の功績を称えろ』っていう顔でした」


「まあ……」


そうだろう。功績の結果の賜物が、オレの家の中から出てきたんだから。


「無駄にキラキラしていたので、体調快復のためにも速やかに帰ってもらいました」


「それは助かる」


「私だけが傍にいたかったし」


「っ!! ……」


……ふいうちは、今はやめてほしいと心で願った。

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