シンデレラを捕まえて
そうして、十日が過ぎた。肌を刺す日差しが幾分柔らかくなったと思えば、いつの間にか夕焼けに秋の気配が忍び寄ろうとしていた。
「藤代様ご依頼の店舗改装の施工、無事完了いたしました」
藤代さんご夫妻と現場まで最終確認に行っていた社長が、穂波くんと戻るなりそう言った。
「理想以上の出来だという言葉も頂いてねえ、いやいや、よかった」
ほんわかと社長は笑って、「みんなにも色々フォローしてもらったからねえ。ありがとう」と頭を下げた。
「お疲れさまでした。現場の見学させてもらいましたけど、キッチンがすごく使いやすそうでした。作業動線がきっちり計算されてて、さすがだなと。あと、飾り棚がデザインが変わってて面白かったです」
安達さんが言えば、社長がでへ、と笑った。照れてるらしい、可愛い。
「穂波にはもう少しだけ現場に行ってもらわきゃならんが、頼むな」
「うん、分かってる。調整するところがもう少しあるしね」
そっかー……。まだ忙しいのか。
パソコンに向かいながら、話を聞く。と、人の気配がした。
「今晩、時間くれる?」
反応する前に耳元でそっと囁かれて体が跳ねた。
「ふ、ふあ!? 穂波くん?」
顔を上げると、近くに穂波くんの笑顔があった。
「久しぶりにGIRASOL行ってメシ食わない? セシルさんにも長く会ってないし」
「い、いいの?」
「もちろん」
にか、と笑う穂波くんに、思わず飛びつきそうになった。こぶしをぎゅっと握ってどうにか堪える。
「うん、行く!」
「ん。じゃあ、夕方にいつものコインパーキングで待ってるね」
「わかった!」
頷くと、穂波くんは私の頭をポンと撫でて帰って行った。その僅かな温もりに、ちょっとだけにやにやが止まらない自分がいる。
と、背中で大袈裟なため息が聞こえた。
「仲が良さ気でよかったねえ、高梨さん」
「あ、安達さん……」
振り返れば、にやりと唇の片端を上げている安達さんがいた。
「藤代様ご依頼の店舗改装の施工、無事完了いたしました」
藤代さんご夫妻と現場まで最終確認に行っていた社長が、穂波くんと戻るなりそう言った。
「理想以上の出来だという言葉も頂いてねえ、いやいや、よかった」
ほんわかと社長は笑って、「みんなにも色々フォローしてもらったからねえ。ありがとう」と頭を下げた。
「お疲れさまでした。現場の見学させてもらいましたけど、キッチンがすごく使いやすそうでした。作業動線がきっちり計算されてて、さすがだなと。あと、飾り棚がデザインが変わってて面白かったです」
安達さんが言えば、社長がでへ、と笑った。照れてるらしい、可愛い。
「穂波にはもう少しだけ現場に行ってもらわきゃならんが、頼むな」
「うん、分かってる。調整するところがもう少しあるしね」
そっかー……。まだ忙しいのか。
パソコンに向かいながら、話を聞く。と、人の気配がした。
「今晩、時間くれる?」
反応する前に耳元でそっと囁かれて体が跳ねた。
「ふ、ふあ!? 穂波くん?」
顔を上げると、近くに穂波くんの笑顔があった。
「久しぶりにGIRASOL行ってメシ食わない? セシルさんにも長く会ってないし」
「い、いいの?」
「もちろん」
にか、と笑う穂波くんに、思わず飛びつきそうになった。こぶしをぎゅっと握ってどうにか堪える。
「うん、行く!」
「ん。じゃあ、夕方にいつものコインパーキングで待ってるね」
「わかった!」
頷くと、穂波くんは私の頭をポンと撫でて帰って行った。その僅かな温もりに、ちょっとだけにやにやが止まらない自分がいる。
と、背中で大袈裟なため息が聞こえた。
「仲が良さ気でよかったねえ、高梨さん」
「あ、安達さん……」
振り返れば、にやりと唇の片端を上げている安達さんがいた。