MOONLIGHT
青山さんの豪邸に着くと。
相変わらず凄い数の高級車。
家の中に入ると、玄関まで聞こえる歓声。
何だ?凄いにぎやかだな。
人の大きな声を嫌がる弁慶が、将の腕から私の方へ移りたいそぶりを見せる。
「将、弁慶私が抱くから。」
そう言うのに、将は聞き入れない。
大体出かけた先で、車に乗っているとき以外は将が弁慶を抱いて移動する。
いくら言っても気にしない。
何故なら。
「いいよ。弁慶は俺が抱いてるから。じゃないと、俺、レイと手をつなげないだろ?」
と、いつも言う。
何だよ。
弁慶のこの切ない目が、わからないのか。
冷酷人間め。
そう思って、将の手を外そうとするが、絶対に離してくれない。
もう…。
ギロリと将を睨むけど。
「あっ、レイちゃん来たー。」
夕真さんの呑気な声。
横で、夕真ちゃん俺の事は無視か、と苦笑する将。
そんな将に、夕真さんが目を向けた。
だけど。
「うわー。このこが弁慶!?可愛いっ!!初めまして!!夕真お姉さんです!!」
って、やっぱり将は無視で。
無邪気な夕真さんは、弁慶に釘付けだった。
でも、『夕真お姉さん』って…。
夕真さん、私より5歳は上だよね?
いや、若いし、滅茶苦茶可愛いけれども。
だけど、犬に向かって…お姉さんって…。
「プッ…クク…あはははは。」
爆笑してしまった。
そんな私を夕真さんが。
いや、夕真さんを追って出てきた青山さんも志摩さんも…ポカン、と見ていた。
将だけが爆笑している私を、優しく見つめている。
「驚いた…城田さんがこんな風に笑うなんて。」
言葉通り、驚いた表情で青山さんが呟いた。
「本当に。いつもクールで、間違ったことを言ったり、したりすると辛辣な言葉でピシャリ、とやり返されるっていうイメージだったのに。」
と、志摩さんまで。
私は、サイボーグか?
将がクスクス笑い、私に弁慶を渡し、私を抱き寄せた。
そして。
「それは見た目だけだよ。レイは優しくて、心の中は人を助けたいって熱い気持ちがあるし。ツンデレで時々可愛い事言うし。正義を正す強さも、人を許す強さもあるヒーローみたいな素敵な女性だ。」
そんな恥ずかしい事を言いだした。