MOONLIGHT
「レイちゃーん。私も一緒に撮りたーい!」
夕真さんが私のところにやって来て、私と腕を組んだ。
「あっ。夕真さん、丁度一緒にお願いしようと思っていたところです。」
そう言ってカメラマンの岡村さんがカメラを構えたが。
ピース!と、今時女子高生でもやらないんじゃないかというような、ベタな写真ポーズをとった。
しかも、変顔。
「ほらっ、レイちゃんもピース、しないと!変顔もっ!!」
はっ!?私にも強要するのか、そんな恥ずかしい事を?
戸惑う私の手をとり、夕真さんがピースの形をとらせる。
これって…。
「完全な、これもバツゲームだな、レイさん…くくっ…あはは…。」
ゲラゲラ笑う芝崎。
お前、後で覚えてろよ…。
屈辱にたえ、カメラに向かっていると。
「ユマ、何やってんだよ。その人、困ってるだろ?」
振り返ると、やっぱり。
若いけど、無茶苦茶イイ男。
声だけでも、イイ男とわかったけど。
なんていうか、もう、堪らないくらいイイ男。
ゴメン、芝崎。
芝崎も大概イイ男だと思ったけど。
この彼を目の前にしたら。
あっけなく、勝負はついた。
まあ、見た目だけなら将は張れるけど。
中身で勝負したら、瞬殺の次元だな。
「あっ!!うーちゃんだっ!!いつNYから帰ったのっ!?」
夕真さんが、その彼の腕の中に飛び込んだ。
あ、彼が夕真さんのおでこにキスをした。
って、青山さんは大丈夫なのか?
そんなことをして。
だけど。
「梅、お帰り。打ち上げは間に会ったんだ。腹減ってないか?何か食べたらどうだ?」
ニコニコ顔で、そんな優しい事を言う。
しかも、彼の事を可愛くてしょうがないと言う目だ。
何だ?…と思ったけど、直ぐに気がついた。
ああ、彼は夕真さんの息子さんだ。
顔はあまり似ていないけれど、骨格がよく似ている。
それに、纏う雰囲気がどことなく似ている。
てことは、彼も天然なのか?
「レイ、見過ぎ。」
少し拗ねたハスキーボイスが聞こえたと思ったら、後ろから目隠しされた。
セクシーな香りで直ぐ誰かわかり、愛しさで胸が一杯になる。
「あはは、だって。夕真さんのおでこにキスしてるのに青山さんが何も言わないから、不思議に思って。だけど、見ていてわかったの。骨格が似ているから。夕真さんの息子さんでしょう?」
「よくわかりましたね?大抵、俺とユマは親子にも兄弟にも見られないんですが。あ、ユマの息子の広瀬梅晴です。初めまして。この度はおめでとうございます。将君、凄く素敵な人だね?おめでとう。」
そう言いながら、私に握手を彼が求めてきた。
「うん、ありがとう。だけど、レイと握手はやめてね?」
私も握手に応えようと、手をのばしかけたのだが、将が私のその手を握ってしまった。
「ぷっ。やっぱり、将君も菊さんタイプかー。レイさん大変だね?やきもち焼きの旦那さんで。」
彼…広瀬君がそう言うと、将は心底嫌そうな顔をして、菊弥先生と一緒にしないでよ、と抗議した。
途端に周りが笑う。
青山さんだけ、どういう意味だよっ!!って怒っているけど。
何か、この広瀬君の登場で周りの空気が一気に和んだ。
この彼も夕真さんと同様周りにとても愛されているんだ。
何か、いいな。
こういうのって。
そんなこと思っていたら。
「孝太郎、俺わかっちゃった。」
突然、広瀬君が芝崎にニヤリと笑いかけた。
芝崎が嫌な顔をした。
「レイさんって、お前のタイプ、ドストライクだろー?」
げ。
一瞬にして、将の顔が般若に変わった…。
やっぱり、夕真さんの息子だ。
DNAは受け継がれていると悟った。
空気を読めない、という、DNA…。
「レイッ!?」
何かあったんじゃないかと、問い詰めるような顔で将が詰め寄ってくる。
その、形相におののいて、ついポロリと。
言ってしまった。
「だ、大丈夫っ!!しっかり、きっぱり、ものの見事にバッサリと、フッたから!!私はどんなイイ男より、ペットにマジギレする、器の小さいスネ男君の将が好きだからっ!!」
よしっ!
ちゃんと、誤解されないように言いきった!
と、思ったんだけど。
!!!
空気を読めないDNAは私にも、あるのかもしれない、と皆の爆笑を聞きながら反省をした。
だけど、空気を読めないやつがもう1人いた。
いや、敢えて読まないんだな、わざと。
私の失言にかなりお怒りになったようで、芝崎が爆弾発言をしたのだ。
「将君、さっきムーンライト歌っている時に、レイさん恥ずかしがって、バツゲームかっていってトイレに行こうとしてたけど?」
私は、怖くて将の顔を見る事ができなかったが黒かったにちがいない…。