MOONLIGHT


瀬野将も私と同じで、仕事に行く時間はまちまちだった。

だから、お互いのスケジュールをメモで教え合うようになった。

弁慶がいるし。

とりあえず、奥の部屋までは入らないが、弁慶をみるためにお互いの部屋は勝手に鍵を開けて、行き来することも普通になっていた。

で。

スケジュールが合うと必ず、瀬野将の部屋でご飯を食べるようになっていて。

その時はなぜかいつも、私の膝の上には弁慶がいて。

とても居心地がよかった。

もしかしたら。

こんな雰囲気、お母さんが生きていた頃ぶりかもしれない。

そんな安らいだ気持になっていた。






ある日。

夢を見た。

お母さんの夢。


お母さんは、相変わらず綺麗で。

私と違って、可愛くて。


「今日はね、お父さんが帰って来るのよ?」


白い、とてもお母さんに似合うワンピースを着て、微笑むお母さんはとても美しくて。

本当に、お父さんが好きなんだなぁと思った。


私のお父さんは、とても優しくて素敵な人。

でも、ちょっと同級生のお父さんより歳が上なのが、恥ずかしかった。

運動会も、父の日も欠かさず学校行事はきてくれた。

大好きなお父さん。

忙しくて、毎日お家には帰ってきてくれなかったけれど、私とお母さんが大好きだっていつもいってくれていた。

だけど。

お母さんが亡くなって。

お葬式の喪主は何故か私。

家族も、私だけ。


そして、お父さんは…何で私たちと名字が違ったんだろう…。



久しぶりに見た夢。

この夢は、たまに見る。

目が覚めると、涙が出ていて。


だけど、今日は違う……?

気がつくと、体が温かくて。

え?


瀬野将?

瀬野将の顔が近い…。


「……何で、しょうか?この状態は?」


あとずさりながら、尋ねようと思ったけれど。

瀬野将に、がっちり体を固定されていた。

固定…別のいい方をすると、抱きしめられている、という感じ?

ああ、私、瀬野将のリビングで酔っ払って寝ちゃったんだ。

毛布が掛けられている。

どうしたいいのか固まる。

瀬野将は、そんな私にはお構いなしに背中をトントンしてくる。

心地いいけど…何だかちょっと甘くて、居心地悪い?

どうしようか。

そう思っていたら。


ドスン――

拗ねた顔の、弁慶が私のお腹に乗った。


弁慶、ナイス!!






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