MOONLIGHT
それから、一週間。
静かな日々が続いた。
でも、やっぱり病院に寝泊りは限界がきているようで。
体のあちこちが痛い。
それに、あまり眠れないし。
部屋、どうしようか…と考えあぐねて。
簡単なことに気がついた。
別に、鎌倉じゃなくてもいいんじゃないか。
近くの場所なら。
もっと、早くに気が付くべきだった。
ふと、横須賀が頭に浮かんだ。
休みは簡単にもらえた。
だって、2週間夜勤ずっとしていたし。
休みも取らなかったし。
逆に、神田先輩にしっかり休めと、3日も休みをもらってしまった。
電車を降りると、海の匂いが鼻についた。
ここは、軍港の町。
外国人がとても多い。
すれ違う異国人が、ピュー、と口笛を吹く。
私は、結局青山さんの家から帰ってきたままなので、洋服はこの間のベリーBのワンピースしかなくて。
格好いいけれど、滅茶苦茶目立っていた。
仕方がない、途中で服を買おう。
でも、先に。
ホテルをとった。
この間泊まった、グランドヒロセ横須賀じゃなくて、ロイヤル横須賀というビジネスホテル。
2泊とった。
とりあえず、安心して買い物に出かける。
さすが、異国文化あふれる街だけあって、洒落たジーンズショップがある。
古い店だけど、なんだか味がある感じ。
出てきたオーナーを見て。
成る程、と思った。
がっしりとした大きな体で無造作そうに見えて、ジーンズ姿が決まっていた。
ジーンズにTシャツ、フラットシューズを買って、全身を着替えた。
あと同じようなものを何点か買って。
やっと、動きやすくなった。
もともと持っていた赤いバックは、ブランドのものだが、まあジーンズともあうのでそのまま持つことにした。
「姉さん、格好いいな。」
会計が終わって、オーナーにしみじみと言われた。
何だか、照れる。
照れ隠しに、不動産情報を聞いてみた。
口調はぶっきら棒だが、気のいいオーナーで、色々情報を提供してくれた。
そんな時。
「あ…先日の…。」
聞いたことのある声がした。
振り返ると、白髪が目に入った。
「あ、TOP OF YOKOSUKAの…確か…浜田さん、でしたよね?」
今日はタキシードを着ていないけれど。
ジーンズ姿は、この男も無造作で・・・滅茶苦茶決まっていた。