MOONLIGHT
大瓶ビール5本をのんで、夜勤明けの疲れも手伝って、ソファーで眠ってしまった。
「ああっ、だから、勝手に誤解してんじゃねーよっ!!」
……せっかく、気分よく眠っていたのに。
怒鳴り声で目が覚めた。
とりあえず、目だけ開けると。
いつの間にか、瀬野将、青山さん、夕真さん、知らない色っぽいオジさんがいた。
夕真さんがいるから…。
私は、むくり、と起き上がると、バックをもって立ちあがった。
「あ、レイちゃん…。」
戸田が、私に声をかけた。
じろり、と睨みつけて歩き出す。
「どこ行くんだよ、レイ。」
切ない目で、瀬野将が私を見つめた。
まあ、2週間、無視し続けたしね。
「まって、俺、誤解しててっ「うるさい。ついてくるな。」
何故か知らないけれど憔悴しきった顔の青山さんに、ぴしゃりと冷たい言葉を浴びせる。
酷い風邪でもひいたのだろうか、前よりもやつれているように見えた。
「レイちゃん、あのね…「夕真さんも来ないで下さい。」
悪いと思ったけれど。
夕真さんにもぴしゃりと、言った。
浜田だけが、私の考えていることがわかったらしく、皆から一番離れた、奥の窓側の席に座った私に、瓶ビールと灰皿を運んできた。
それに安心して、タバコを咥えた。
「浜田さん、ありがとう。」
「先生・・・騒々しくて申し訳ございません。」
タバコに火をつけながら小さく首を横に振る。
「浜田さん、お願いがあるんですけど。」
「はい、何でしょうか?」
「いいかげん、その嘘くさい敬語止めてもらえませんか?」
咥え煙草で、コップにビールを注ぐ。
「は?」
浜田が、物凄く驚いた顔をした。
「私は、旨い酒と、旨いタバコが吸いたいだけんです。その嘘くさい敬語を聞いていると、何だか旨いのまで嘘になりそうで。」
「…………。」
「それから、私はここでは医者じゃないですから。レイでいいです。」
「…………。」
起きぬけに、ビールをごくごく飲みながら、タバコをふかす、女と。
嘘くさいと心外な言葉をつきつけられて、固まる男を見て。
騒がしかった彼らは、嘘のように静まりかえった。