MOONLIGHT
「…ホント、レイちゃんって男前だよなー。」
いきなりそんな訳のわからんことを、戸田がしみじみと言い出した。
まあ、ズボンタイプの白の医療着上下に、白衣を羽織り、ソファーに座って脚を組み…。
おまけにくわえタバコは、やっぱり女らしくないか。
と、少し凹む。
だけど。
「本当に、城田先生は格好いいですよねー。」
心優しい北村さんが、フォローしてくれた。
って、北村さんまでいる?
何か、今日人多くない?
そう思っていたら。
「鰻重出前、きましたよ。」
「……。」
何で、典幸まで?
その向こうには、青山さんと知らない男の人?
凄くいいスーツ着てるけど、可愛い顔してる。
何だ、何なんだ、今日は?
よくわからないうちに昼食会が始まった。
入院中のくせに、ちゃっかり鰻重なんて高カロリーの物をたべようとする戸田を叱りつけ、戸田だけ病院食ランチにしてやった。
すっごく、恨みがましい目で見てくるが、知るか。
青山さんが、私を驚いた目でみている。
よくわかんない視線なので、無視。
昼食を終えたのに、誰も帰ろうとしない。
暇なのか。
時計をみると、13時。
よし、昼休みも終わる。
そう思って、立ち上がりかけたら。
「レイちゃーん。午後から、予定ないよねー。医局長、理事長から予定ないときはレイちゃん俺に付き添ってもらってかまわない、って許可もらってるんだけど?」
は?
「お好きに、どうぞ。」
な、何だこいつら!
パワハラ全開だ。
そこへ。
ノックの音がした―――
「どうぞ。」
返事をしたのは、戸田。
だけど、今までの顔と違う。
急に厳しい顔つきになった。
そして。
開かれたドアの向こうには―――