MOONLIGHT
この貴賓室は、とても広い。
大企業の重役や、政治家などが利用するため、部屋には会議用の大きなテーブルがある。
さっきまで、そこで鰻重を食べていたんだけども。
その会議用テーブルに。
真ん中に戸田が座った。
その右横に典幸、左横には神田先輩。
神田先輩の横に青山さん、可愛い顔の男性…森村さん。
私と並んで北村さん、向かいに瀬野将で近くのソファーに座った。
そして戸田の向かいには。
3か月振りに会う、中川クリニック医院長、中川治とその母親で事務長の美那子が座った。
微妙な空気。
オサムがちらちらとこちらを見る。
事務長は、一度私を睨んだ後はこちらを見ようともしない。
そんな空気をものともせず、戸田が陽気に話し始めた。
「いやー、悪かったね。鎌倉まできてもらっちゃって。今度青山流の師範会の健康診断をしようってことになってねー。それもこの間、私が心筋梗塞になってねー、師範会の連中ももう歳くってきてるから、私みたいに倒れてからじゃ遅いって話しになって。で、健康診断するのにいい病院ないかー、って飲み仲間の葉山ちゃんに相談したら、葉山ちゃんがいい病院があるっていうじゃない?で、一度、医院長先生と事務長さんにお話きこうってことになってさー。今血圧も高いから、ちょっと検査入院になっちゃって、まあ部屋もひろいからこっちきてもらっちゃったんだけど?申し訳なかったねー。」
個人医院で企業の健康診断は、結構金になる。
すごくいい話だ。
私がオサムと結婚したと報告するや否や、典幸は自社の葉山クリスタルの社員の健康診断の病院を中川クリニックに変えてくれた。
余計なお世話だ、と思いながらも経営状態を考えれば、正直ありがたかった。
実際、オサムの病院は設備も整っていて、健康診断を受け入れるのにはいい病院だったし。
もちろん、私と葉山クリスタルの関係はばれないように、典幸に釘はさしておいたけれど。
「いえ…ありがたいお話なので、私どもは、構わないんですが…「すみません、健康診断のお話なのに、部外者の方も同席されるんですか?こちらとしては費用の見積もりなどもありますし、企業秘密としたいところもあります…同業者の方、部外者の方はできましたらご遠慮いただいたいんですが?」
オサムの言葉を遮って、事務長が発言した。