MOONLIGHT
「そう、それならいいわ。」
そう言って、跪いたままの瀬野将の頭をなでてやる。
途端に、瀬野将がシュンとする。
こんな、瀬野将もレアだ。
いつもは余裕だらけなのに。
「なんか、俺今日変だ。全然、余裕ないし、レイの前で年下丸出しだし…。」
あ、今度は拗ねた。
「・・・ねぇ。私、今の素の瀬野将の方がいい。」
「えぇ!?」
「私、年下が好みなの。逆に年上は、NG…。やっぱり、甘えられるのがツボなのよね。まあ、瀬野将といるようになって、甘えるのもいいな、って思うようになったけど。」
私が素直にそういうと。
やっと、瀬野将が微笑んだ。
うわ、余裕もどってるし。
まあ、これはこれでいいんだけど。
「そっか。なんか元気出た。じゃあ、年上はNG、ってことは。神田先生も、ダメなんだ?俺、あんまり仲がいいし、随分レイのためにいろいろしている神田先生にやきもちやいて焦ってたんだけど。心配しなくていいってこと?」
ええっ!?
神田先輩にやきもちやいてた?
瀬野将が?
あり得ない…っていうか、人の部屋でオナラするようなやつはあり得ないし。
「何を勘違いしたのか知らないけど。神田先輩だけはない!!その誤解は、勘弁してほしい。」
私がげんなり顔でそう言うと、ゲラゲラと瀬野将が笑った。
「うん、わかった。くくっ…だけど、レイ。珍しく今日は素直だな?なんか、普段のあまのじゃくなレイもいいけど、たまにはこういうレイも、クるな。」
瀬野将が、私の髪を弄びながらそう言った。
「…あまのじゃくって、何よ。」
口が尖る。
まあ、思い当たる節は、多々あるけれども。
「あまのじゃくな、レイも可愛い。だけど、素直な今日のレイも、スゲー可愛い。」
そう言いながら、瀬野将が私の髪をひと房とって、そこにキスをした。
なぜか照れくさくて。
その照れくささを隠すように、慌てて口を開いた。
「・・・今日は、月が出ているから。何か、元気が出るの。」
「え?月が好きなのか?」
「うん、好き。月を見ると自分の存在を確認できる、みたいな…。太陽みたいにギラギラしてなくて、ただ静かに、誰にでも平等に照らしてくれるでしょ?」
「なるほど。だから、『ムーンライト』の歌も好きなんだ?…ああ、考えてみればレイにピッタリだな。」
そう言えば、瀬野将に『ムーンライト』踊ってもらったな。