MOONLIGHT



私の言葉に瀬野将は頷くと。


「レイを愛してる。俺は、レイを一生愛し続ける。」


そう言って、私の頬に手をかけた。

だから、私も。

ちゃんと、瀬野将の瞳を見つめた。


「私も、瀬野将を…愛してる。ずっと。愛し続けます…。」


私の想いも伝えた。


近づく、瀬野将の顔。

何て綺麗な顔何だろう。

一瞬、見とれた。


だけど、唇が触れた途端、急に何かがこみ上げた。

誓いのキスは、触れるだけのものだった。


唇が離れて、瀬野将の顔を見ると。


「「泣いてる。」」


私も瀬野将も、同じように涙が頬を伝っていた。

そして、自然とどちらからともなく、お互いの親指で涙を拭きあう。


「はぁ……。」


瀬野将がため息をついた。

そして、私のおでこに自分のおでこをコツン、とあてた。


「ずっと、こうしたい。」

「え?」

「レイの涙をこれから先、拭くのは俺だけ。てゆうか、レイが泣くのは俺の前でだけ。」


なんて可愛いことを!

あの、余裕男がこんな可愛いことをいうなんて!

胸がキュンキュンする。

私は、笑顔で頷いた。


「わかった……だけど、瀬野将もだよ?泣くのは私の前だけ。」


そう言うと、瀬野将は、うーん、と唸った。


「何だよ。」


せっかく、いい気分だったのにその瀬野将の態度が、水をさした。


「あっ、ごめん。そうじゃなくて……俺っ。さっきも言った通り、役者なんだよ。」


私がムッ、とした様子が伝わったのか、瀬野将が慌てだした。

今日の瀬野将は、明らかにおかしい。

完全にいつもの余裕がなく、素で焦ったりしている。

てゆうか、これが素なのかも。

少し幼くて、滅茶苦茶可愛い。


「うん、役者ってのは聞いたけど?」


瀬野将の可愛さに、私の口調が優しくなった。

その私の態度に、瀬野将がホッとしたようだ。

また、それが私のツボにはいった。


「だから…お芝居で、泣くことも…結構あるんだ…だから…「それって、瀬野将なの?」

「え?」

「お芝居ってことは、瀬野将がやっていても、違う人物なんだよね?演じてるって言うか…私が言いたいのは、瀬野将自身のことだよ?まぁ…言うなれば、素の時。」


そう言うと、瀬野将の顔が輝いた。


「それなら、当たり前。レイの前だけだ。」





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