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「こんなに和馬を巻き込んじゃって……」

「僕がそうしたいって言ってるんだから、いいんだよ」

「んー……、でもやっぱり申し訳ないって思っちゃうよ」

「姫って呼ばれたいの?」

「そういうことじゃなくて!」

和馬は靴を脱ぎながら、また意地悪な視線をこちらに向けた。

「そういえばね、ここに住む条件、もう1つあったんだ」

「え?もう、やだな。何?」

またそういうこと言うの、やめてほしい。

「そんな驚くようなことじゃないよ」

「だから、何?」

「それはね、遠慮しないこと」

「え?……あー、うん」

「ハルが遠慮する気持ちも、わからないではないけどね」

「うん」

和馬の言いたいことはわかるけれど。

こんなに世話になっておいて、遠慮しないってどうなんだろう。
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