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部屋に入る足音で、一人ではないことに気が付いたのだろう。

浩介は最初から警戒心を露わにして、丸いローテーブルに腕をついたまま、睨みつけてきた。

「はあ?誰だよそいつ?」

浩介はなめるような視線で私たちを見た。

「なに男なんか連れて来てんだよ」

浩介の強い口調にひるんでしまい、言葉が出てこない。

「荷物はまとめてくれた?」

驚くほど冷たい和馬の声が後ろから聞こえて、私はびっくりして振り返った。

「はっ、冗談じゃねえよ。遥、まさか新しい男とか言わねーよな?」

私は完全に怒鳴られていた頃の自分に戻ってしまっていた。

言葉が喉に詰まって何も言えない。
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