ページをめくって
買い物カゴを持って思い出した。

「そういえば、明日は迎えに行けないんだ」

「お仕事?」

「うん」

明日は大盤解説の仕事が入っていた。

「場所はそんなに遠くないんだけどね、9時には終わらないと思うんだ」

「そうなんだ」

ハルは野菜を手に取りながら何かを考えているようだった。

「和馬、いつも迎えに来てくれるけど、本当に悪いなって思うんだ」

「そんなことないよ」

「でも、その為だけに外に出るなんて」

「いやいや、僕も少しは外に出ないといけないからさ」

僕は一日一歩も外に出なくても平気な人間だ。

でも、あんまり家に閉じこもっていると、人としてダメになっていきそうな気がするから、理由をつけて外に出たいというのはあった。

「でも……」

「ハルの会社はうちから近いし、ちょっとコンビニに行くのとそんなに変わらないよ」

「そんなに近くないよ」

「迎えに来てほしくない理由でもあるの?」

「もう、すぐそういう意地悪なこと言う」

「意地悪じゃないよ」

「だって、迎えに来てほしくない理由なんてあるわけないもん」

「本当?」

「うん」

「なら、いいじゃない」

この勝負は僕の勝ち、だね。
< 414 / 522 >

この作品をシェア

pagetop