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ハルは寺嶋と楽しそうに歩いていた。

どういうこと?

男の所に行ったって、まさか寺嶋の所?

腹の底からゾワッと寒気が走って頭が痺れた。

嫉妬なんて言葉では表現できない何かが僕の中に蠢いている。

考えたくない。

いやいや、駅で偶然会っただけかもしれない。

出勤時間は同じなんだし。

それにしても、他の男にそんな楽しそうな顔を向けないでほしい。

あの輝いた笑顔は僕だけのものなのに。

二人は楽しそうに話しながら、ビルの中に吸い込まれていった。

こんなに近くにいるのに手が届かない。

気持ちが全然伝わらない。

こんなにも強く想っているのに。

どうしてこんなことになったんだろう。

己の無力さに辟易する。
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